雲中午睡庵

小さな庭いじりや子連れ山登りなど写真を添えて

【星撮り夜記2】皆既月食と天王星食

11月8日、皆既月食天王星食があった。
国立天文台の資料によると、日本で皆既月食中に惑星食が見られたのは1580年の土星食以来。次回は2344年の土星食なのだそうな。
そんな珍しい現象ということなので、天文ファンの端くれとして、自宅のベランダで観察してみた。

20:10ころ撮影:PENTAX K-1 Mark II, kowa prominar 500mm F5.6, f/5.6, ISO12800, 1/2sec., 固定撮影, 約2/3にトリミング

今回はカメラで撮影しつつ、8×42の双眼鏡でも観察した。

双眼鏡で観察してあらためて感じたのは、皆既月食中の月はかなり暗くなるということ。月食前の満月の時はもちろん、月がかなり欠けてからも周りに星は見えなかったけれど、皆既食になると周りに星が見え始めた。
写真で撮っても同様だ。

そして、今回、初めて天王星を見た。

天王星の明るさは大体6等星で見た目の大きさも小さいから、大きな望遠鏡で見るのでもなければ、確信を持って「これが天王星だ」と言うのは難しい。そもそもそんな天体だから、大きな望遠鏡を持っていて、他の目ぼしい天体を見飽きた後でないと、あえて探して見てみようという気もおきない気がする。
それが今回は20:40頃に月に隠されることが分かっているから、その時間に隠された星が天王星だと逆に分かる。

20:38ころ撮影:PENTAX K-1 Mark II, kowa prominar 500mm F5.6, f/5.6, ISO12800, 1/2sec., 固定撮影, 約2/3にトリミング

ということで、矢印の先のこの小さな星が天王星だと確定。
天王星が隠れる様子は双眼鏡でも見ることができたので、人生初の天王星観察に成功だ。

写真で比べると、1枚目から30分ほどで、月は星に対してだいぶ動いているのがよく分かる。
2枚目の写真を撮った後、タイムラプスでも撮影したりして楽しんだ。

最後に元の満月に戻っていく姿を比較明合成で撮って月食天王星食の観察を終了。5歳の子どもも一緒に双眼鏡を覗いたりして、楽しい夜だった。

太っていく月を比較明合成:PENTAX K-1 Mark II, D FA Macro 100mmF2.8, f/2.8, 1/500sec., ISO800, 12枚を比較明合成

今回、皆既月食を撮ってみて、感じたのは思ったよりも難しいということ。
というのも、皆既月食中の月はかなり暗い。例えば、中秋の名月の時に撮った下の写真は、感度がISO100でシャッタースピードは1/800秒。それに対して、ここで1枚目にアップした皆既月食の写真は感度ISO12800でシャッタースピードは1/2秒だ。

写真を見ると分かる通り、月はシャッタスピードが遅い分、動いているから月食の写真はなんだかぼんやりしている。感度を高くしているから背景の空もノイズでなめらかでない。

皆既月食中の月を単体で撮るには、赤道儀で追尾した方が良さそうだ。

月が元の満月に戻っていく写真も、本当は赤い月が白くなっていく風に撮りたかったのだけど、天王星食をタイムラプスで撮っていたら、1枚目の月からもうすっかり明るくなってしまっていた。月の模様も見えないし、いまいち…。
やはり1枚1枚、設定を変えながら撮ってPCで合成した方が確実かもしれない。

次回の皆既月食は2025年のようだから、次回はもう少しきれいに撮れるよう、写真の腕を上げておきたいと思う。