雲中午睡庵

小さな庭いじりや子連れ山登りなど写真を添えて

【子連れ登山記10】トンボと遊ぶ夏の蔵王・熊野岳

夏休み、中1の娘と小1の息子を連れ、遠出して蔵王に登った。
ロープウェイで山頂近くまで行ける楽な登山だけれど、森林限界を超えた草原と火山の砂礫と景色は多彩。小1の息子はトンボを何匹も捕まえては離して楽しんでいた。

ワサ小屋跡付近から地蔵山を振り返る
【データ】
<日付>2023年8月上旬
<ルート・所要時間>蔵王ロープウェイ地蔵山頂駅(30分)ワサ小屋跡(40分)熊野十字路(20分)熊野岳山頂(40分)ワサ小屋跡(15分)地蔵山山頂(15分)ロープウェイ地蔵山頂駅
<メンバー>中学1年生の娘と小学1年生息子と自分
<その他>頂上付近の火山灰地が滑りやすい。

1.蔵王温泉からロープウェイで地蔵山頂駅へ

夏休みを使って、中学1年生の娘と小学1年生の息子を連れ出して、普段は行けない遠くの山へ行こうと思った。
部活のある高校2年生の娘と仕事のある奥さんは家に残るという前提で計画をしていたのだけれど、直前に聞いてみると高校2年生の娘の部活は違う曜日で、実は行こうと思えば行けたらしい。なんだか申し訳ないけれど、子どもが3人いるとそれぞれの予定を把握するのは難しい。

今回の3人で泊りで出かけるのは初めてで、父親の自分が一番ドキドキしているかもしれない。

山形新幹線つばさ号山形駅へ向かい、バスで蔵王温泉へ向かう。

途中、福島から米沢の峠越え区間で子どもたちが電車に酔ったり、新幹線が少し遅れたりしたけれど、予定の1本後のバスで無事、蔵王温泉に到着。標高800mほどの温泉にはトンボが飛び交っていた。

翌朝、蔵王ロープウェイで地蔵山頂駅まで登り、登山開始。今回も標高差180mほどの楽々登山だ。

2.トンボを捕まえながら熊野岳頂上へ

ロープウェイを下りると、麓よりもさらに多くトンボが飛び交っていた。
昨日、蔵王温泉に着いてから、トンボの捕り方(手をゆっくり回しながらトンボに近づけて捕まえる例のやり方)を教えた小学1年生の息子はすっかり捕まえるのが得意になり、道すがら捕まえては放しながら歩いている。
一方、捕り方を教えた僕は、寸前でするりとすり抜けられてばかりで、一向に捕まえられない。年を取って指先の感覚が鈍ってしまったのだろうか。

ロープウェイ駅から蔵王の最高峰・熊野岳へは、地蔵山山頂を通る道と、巻き道とがある。歩き始め、ペースの上がらない子どもたちを見て、山頂へ登る道でなく巻き道を行くことにする。

森林限界を超えた見晴らしの良い草原の木道を行く。残念ながら雲が多く、あまり遠くは見えない。

30分ほど歩くとワサ小屋跡で、山頂経由の道と合流。
ここで振り返ると、緑のなだらかな地蔵山。

行く手には荒々しい火山の熊野岳と対照的な景色が広がる。

近くにあった看板によると、ワサ小屋というのは、ワサさんというお婆さんが参拝者をもてなすためにやっていた小屋らしい。ワサさんの石像もあるのだけれど、これは牙があってほとんど山姥だ。

うちの小学1年生も「怖い」と言っていた。
参拝者をもてなす優しい婆さんのようなのに、なんだかかわいそうだ。

ワサ小屋跡から熊野岳に向かって登り返す。

岩がゴロゴロした斜面に「近道」と書いてあったけれど、子どもたちの足取りを考えて、遠回りでも緩やかな道を行く。

子どものペースでゆっくりと40分ほど登って、熊野十字路に到着。ここも小屋があったようで、積み上げた石の壁だけが残っている。

この辺りは、トンボが集まっていて、小学1年生の息子は捕まえ放題、捕まえて、遊んでいた。

小石にとまっていたトンボを捕まえると、小石ごと持ち上がる。火山の土地だから、軽石は見た目以上に軽い。

ここからもう少し行くと有名な火口湖御釜が見えるのだけれど、御釜のある辺りから次々に雲が湧いている。子どもたちもやや疲れ気味な様子だったので、御釜には立ち寄らず、山頂を目指すことにした。

熊野岳頂上付近は広くなだらかな火山灰地になっている。

時折、雲のすき間から青空が覗く。

火山灰の砂礫の原には、コマクサが咲いていた。

熊野十字路からゆっくり20分ほどかけて山頂に到着。
広い山頂には、たくさんの登山者が思い思いの場所で休んでいた。

下山は元来た道をワサ小屋跡まで戻る。
火山灰地の下り道は、登山靴を履いた僕と中学1年の娘には少し滑りやすいなくらいの道だったのだけど、小学1年の息子の、くるぶしまで覆う靴ではあるものの底の凹凸のあまりない靴では、グリップが足りないようでつるつる滑っていた。
両手をつないで電車ごっこのようにして、子どもは僕のすぐ後ろを歩いて下りた。

ワサ小屋跡からは行きに通らなかった地蔵山を経由して、ロープウェイ駅に向かう。

ロープウェイ駅に着く直前、ようやく僕もトンボを1匹捕まえた。
親の沽券を到着寸前に保てた。