雲中午睡庵

小さな庭いじりや子連れ山登りなど写真を添えて

【山歩写真】草原の尾根を行き北アルプスの夕暮れと星を眺める~薬師岳・五色ヶ原縦走1日目

8月、北アルプス薬師岳・五色ヶ原を縦走した。
かねてより歩きたいと思っていた見晴らしのよい草原の道は、思い描いていた通り至福の縦走路だった。
天気にも恵まれた4日間の記録を書こうと思う。

1日目・太郎山の夕暮れ:PENTAX K-1 Mark II, D FA 21mm F2.4 Limited, f/2.4, -1.0EV
【データ】
<日付>2023年8月中下旬
<ルート>
(1日目)折立(1時間55分)森林限界のベンチ(1時間45分)五光岩(1時間)太郎平小屋
(2日目)太郎平小屋(1時間25分)薬師平ケルン(50分)薬師岳山荘(1時間5分)薬師岳山頂(50分)北薬師岳(2時間)間山(1時間15分)スゴ乗越小屋
(3日目)スゴ乗越小屋(50分)スゴ乗越(1時間)スゴの頭(2時間)越中沢岳(1時間10分)越中沢乗越(1時間15分)鳶山(1時間)五色ヶ原山荘
(4日目)五色ヶ原山荘(45分)ザラ峠(1時間30分)獅子岳(40分)鬼岳東面(1時間20分)龍王岳(1時間50分)室堂

1.樹林帯を登り草原の道を行く

今回の登山は富山県の折立から入る。折立は標高1350メートルでまだ樹林帯だ。
登山口には大きな木が立っている。

折立登山口の大木

折立の登山口を訪れるのは学生時代以来20数年ぶりだ。前回は雲の平を訪れた。
雲の平登山の時、まだ北陸新幹線は通っておらず、上野から夜行の急行能登で早朝富山に着き、地鉄とバスを乗り継いで折立に来た。

今回は、北陸新幹線に乗った。遅いタイプのはくたか号でも大宮から富山まで2時間半ほどで着くのだから隔世の感がある。

展望の利かない森の中を気長にじっくりと登ると、2時間ほどで森林限界を越える。

森林限界を越えたところは、ベンチの並んだ広場になっていて休むのに丁度いい。

その先は気持ちのいい草原の尾根を行く。
空が開けるにつれ、下界は遠く思えてくる。

太郎平へ向かう草原の景色

周りの山からは夏雲が湧き立ち、薬師岳も雲に隠れたり、時々姿を見せたりする。
2時間ほど歩くうち雲は段々と増えていき、五光岩ベンチを過ぎたあたりで、すっかり雲の中に入ってしまった。

なかなか見えないと思っていた太郎平小屋は、尾根を曲がると突然思いがけない近さで見える。
14時少し前に太郎平小屋に到着。小屋前の広場からは雲の平の奥に水晶岳が見えた。

2.太郎山の夕暮れと星空

小屋に着いてから雨が降り始める。
夏の山は午前中晴れていても、午後は曇ったり、雨が降ったりすることが多い。そして、夕暮れ寸前に雲が切れて晴れることが割とある。
この日もそれを淡く期待しながら待っていると、夕食後、見事に雲が切れ始めた。

小屋の近くの太郎山に登って待つと、薄い虹が出たりしながら空は段々と晴れていき、やがて夕日が雲の間から顔を出し、青空も見え始めた。

太郎山から夕暮れの薬師岳①:PENTAX K-1 Mark II, smc FA43mm F1.9, f/1.9, -0.7EV

そして、明日目指す薬師岳が夕暮れ色に染まる。

太郎山から夕暮れの薬師岳②:PENTAX K-1 Mark II, smc FA43mm F1.9, f/1.9, -1.0EV

夕日は雲海の彼方に沈む。

雲海に沈む夕日:PENTAX K-1 Mark II, smc FA43mm F1.9, f/22, -0.7EV

太郎山は小屋から少し登るだけなのだけど、この日の夕暮れはほとんど人がいなかった。夕日が沈む時、そこにいたのは僕ともう1人カメラを持った男性だけで、2人のおじさんはカメラを手に、次は薬師岳、次は雲海とうろうろ歩き回り、楽しい時間を過ごした。

日没後、小屋に戻り、空が暗くなるのを待つ。

8時ころ、外へ出てみると、残念ながらまた雲が広がっている。それでも、富山の夜景とわずかに見える北斗七星を写真に撮れないかと模索していると、段々と雲が切れる場所が増えてきた。

そして、都合の良いことにさそり座が見え始める。
さそり座からいて座の辺りは天の川が濃い。
カメラを向けてみると写った。天の川だ。

PENTAX K-1 Mark II, D FA 21mm F2.4 Limited, f/2.5, ISO6400, 30sec., プロソフトンクリア使用

この写真を見ると空が晴れ渡っているように見えるけれど、実は晴れているのは写っている辺りだけ。本当に幸運だった。

少し待ってみるものの、さらに周りが晴れる様子はなかったので、この日はこれで撤収。翌日に備えることにした。

今回の薬師岳・五色ヶ原の縦走は山小屋に3泊する。
山中に3泊という数字、記憶を遡ると前述の雲の平(この時はテント泊)以来、実に20数年ぶりになる。

この間、細々と山登りは続けてきて、趣味や好きなことは?と聞かれれば「山登り」と答えるような人生だったのだけど、やっぱり社会人になると時間がないものなのだなと改めて思う。

それにしても、好きなことなのに、山中3泊を20年もしていないとなると、どれだけ人生妥協して生きてきたのだろうと我ながら思ってしまう。

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