雲中午睡庵

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【山歩写真】薬師岳で天地の広さを感じる~薬師岳・五色ヶ原縦走2日目

3.薬師岳へ・天地の広さを感じる山登り

薬師岳・五色ヶ原縦走の2日目は、太郎平小屋から薬師岳を越えて、スゴ乗越小屋に向かう。
6時前に太郎平小屋を出発。少し歩くと、夜明けだ。

太郎平の夜明け:PENTAX K-1 Mark II, D FA 21mm F2.4 Limited, f/22, -1.0EV

草原の太郎平もキャンプサイトを抜けると、沢沿いの樹林帯の登りになる。
1時間ほど登ると、段々と木がまばらになり、今度はチングルマの綿毛が朝日を浴びてあちこちで光っている。

チングルマの綿毛:PENTAX K-1 Mark II, smc FA43mm F1.9, f/5.6

綿毛もいいけれど、花の時期もきれいだろうな。

小屋を出て1時間半ほどで薬師平のケルンに到着。木道が少しあり、その先に槍の穂先が見える。

薬師平と槍の穂先

薬師平からは、いよいよ薬師岳の懐に入り込む。
見上げれば頂上に向かう稜線、足元にはチングルマの綿毛が揺れる。

薬師平から1時間ほどで薬師岳山荘の前を通る。山荘辺りからは、西の展望も開け、越中が一望できる。

白い砂と岩の広い稜線をじわりじわりと登っていく。
薬師岳山荘から1時間ほどで、ずっと見えていた壊れた避難小屋とケルンのあるピークに到着。見えている所が頂上かなと期待しながら登っていたので、少しがっかりして休憩するが、ここからの眺めも素晴らしい。

薬師岳南側のピークから

南側は、今朝出発した太郎平から北ノ俣岳に向けての広い稜線。太郎平小屋も遠く低く小さく見える。
道すがら、すれ違う人から富士山が見えたとか、槍ヶ岳が見えたとか聞いていたのだけれど、残念ながら高い山にはもう雲がついてしまっていた。

このピークから薬師岳山頂にかけての稜線の東側にはカールが広がる。

薬師岳・中央カール

氷河の作ったスプーンでえぐったような地形。薬師岳にはこうした地形が4つ並んでいるそうで、薬師岳の圏谷群として特別天然記念物に指定されている。
この中央カールも多分そのうちの1つ。

振り返ると、西の越中側の尾根は緑に覆われてたおやかだ。

薬師岳付近から来し方を振り返る

昨日歩いた太郎平へ向かう稜線も見える。

こうして見ると薬師岳は大きい。
緑を広げた尾根は茫洋として、白い山肌は空の青に映えて闊達だ。
天地ともに広大無辺、ただ大きくそこにある。

なんて、何となく漢文調に讃えたくなる。

9:40ころ薬師岳山頂に到着。
山頂からは次のカール、金作谷カールが見える。

薬師岳山頂から北薬師岳と金作谷カール

金作谷カールは真ん中に「M」の字を横にしたような形の盛り上がりが見える。多分、氷河の末端に堆積物が溜まったモレーンだろう。
さらにその東(右)側は黒部川に向かってV字谷にスパッと切れ落ちている。
氷河跡のこのカールもいずれは黒部川に浸食されてなくなっていくのだろうか。

4.スゴ乗越小屋への道と小屋の夕暮れ

雲海の上の北薬師岳への稜線

薬師岳から北薬師岳への道は金作谷カールの縁を歩く岩がちの道。
薬師岳で昼食をとり、のんびりと過ごすうちに、段々と周囲から雲が湧いてきた。

入道雲たち

雲に包まれたり、青空が見えたり、やがてすっぽりと雲に覆われてしまった。

薬師岳山頂からスゴ乗越小屋までの道は思ったよりも長い。間山を通るころには遠くで雷鳴も聞こえてきた。高いもののない稜線で雷に遭うと怖いので、焦りながら進むが、足取りは思うように進まない。

ザレた下り道にも悩まされながら、午後3時過ぎ、ようやくスゴ乗越小屋に着いた。

小屋に着いてからも雲はなかなか切れない。

今日は夕日は無理かなと思い始めた日暮れ間近、少しずつ雲が切れ始めた。

そして夕日は雲を赤く染める。

スゴ乗越小屋からの夕焼け①:PENTAX K-1 Mark II, smc FA43mm F1.9, f/1.9

スゴ乗越小屋からの夕焼け空②:PENTAX K-1 Mark II, smc FA43mm F1.9, f/1.9

この後、再び空は雲に覆われ、この日、星は見えなかった。

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