珍しく関東地方に雪の降った次の朝、早春の雰囲気を写真に撮ろうと庭に出た。
雪国の人には申し訳ないけれど、滅多に雪の降らない埼玉の平野部に暮らしていると、雪が降るや雪を楽しもうと気持ちがそわそわする。
補足しておくと、函館に4年、札幌に3年暮らした経験も一応ある。北海道にいた時、雪が消えつつある3月に感じた気持ちを、追体験しようとする感じと言えば言い訳になるだろうか。
朝食を食べ、玄関のドアを開けるともう日なたの雪はほとんど消えていた。
雪の下から生えてくるクロッカスを撮りたかったのに残念だ。
スズランの芽の周りには、まだ雪があった。
雪の下から、春が芽生えている感じだ。うん。
そして、この日もいい被写体になってくれたのが、プリムラ・マラコイデス。
何となく、夏山で雪渓の周りに咲く高山植物のように見えなくもない。
そんな風に楽しんだ後、家に入ろうとすると、ついさっき、つぼみを写したクロッカスの花が開いている。
淡い雪は束の間。春のにぎやかな足音にかき消され、三寒四温の歩みもやや無粋ではないかと思いつつ、春の訪れは春の訪れとして嬉しくもある。